耐震改修オンラインセミナーを開催しました!
みなさん、こんにちは。あっという間に1カ月が経ちましたが、10月30日に開催しました「ウェブで学ぶ。耐震改修セミナー」のご報告です。
セミナーは18時30分ちょうどに始まり、参加者は25名ほどでした。少し緊張しながらでしたが講師のご紹介をしまして、まずは西都ハウジングの松尾さんから今回のプロジェクトの経緯やコンセプトについての説明です。
今回はこの空き家となった築約60年の文化住宅をリノベーションして、60歳以上のシングル女性と介護職に従事する外国人女性が緩やかにつながるシェアハウスへと再生します。
しかしここで安心して居住してもらうためには、この古い建物の劣化や構造がどのような状態にあるのかを調査し、これに基づき耐震設計、耐震工事と進めていく必要があります。
そこで今回のセミナーでは、このプロジェクトで耐震補強計画を担当されている大阪市立大学の石山央樹先生から「調査による劣化状況」と「耐震改修の方法」についてお話いただき、それをみなさんの学びの場とすることにしました。
石山先生のお話は、まずはこの建物が木造軸組構法であることから、基本的な部材の名称とそれがどのような力に効くのかという説明から始まりました。
そして、現場で壁を剥がし構造躯体になった状態の写真を見せながら、劣化の状況、耐震性についての説明があり、劣化は室内や床下の状況からの推測だけでは難しく、壁を全て剥がさないとわからない場合もあることを指摘されました。
また、この当時の建物は基礎が無筋状態であることが多いことや、筋かいの不備、梁せいの低さなどを指摘されました。
つづいて、劣化改修に合わせた耐震改修の方針もお話いただきました。素人的には、たくさん耐震壁を入れれば丈夫になると思いきや、そうではなく、配置場所のバランス、1階2階での分散配置などの有効性をわかりやすく教えていただきました。
講演後は参加者からの質問に対して、画面上でイラストを描きながら説明され、参加者のみなさんはより理解が深まったのではないかと思います。
セミナーには、大阪市都市整備局にて耐震・空き家をご担当の方とセーフティネット住宅のご担当の方にもご参加いただいたので、ひとことずつコメントをいただきました。
「空き家対策だけでなく地域活性にもつながるプロジェクトで完成が楽しみです」
「セーフティネット住宅は新耐震が基準になるので耐震性能の1.25を目標にしていると聞いて安心しました」
そうなんです。耐震診断は木造では「上部構造の評点」と呼ばれる値で判断していて、これは1.0以上で「一応倒壊しない」とされています。しかし今回はこの上部構造の評点の「目標値」を1.25としているのです。
セミナーの最後には石山先生から新たに開発中の耐震壁のお話があり、今後の空き家利活用や耐震改修工事のためにも現場で困っていることがあればぜひお聞かせくださいとのことでした。
みなさま、石山先生が新たに開発中の耐震壁は今回の耐震改修にも実験的に使用されますので竣工後にはぜひ見学にお越しください。
今回のセミナーは専門的なテーマだったにもかかわらず、とても分かりやすく、あっという間の90分でした。ご参加くださった皆さまありがとうございました。
(文:川幡祐子)
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