【前編】プロジェクト概要~これからの時代の新たなロールモデルをつくる
更新日:2021年5月10日
緊急事態宣言で延期となっていたトークイベント。2ヶ月ほど遅れて、3月21日に無事開催することができました。当日は雨にもかかわらずたくさんの方にご来場いただき、またオンライン配信では遠方からもご参加いただきました。今回はトークイベントで報告した「プロジェクトの概要」を2回に分けてご紹介します。
私たちのミッション
長居公園から徒歩6分ほどのところにある、昭和37年(1962)に建てられた木造2階建ての文化住宅。この空き家となったアパートを活用する方法はないかと相談を受けたことが、このプロジェクトのはじまりでした。
この文化住宅を「多文化住宅(シェアハウス)」として再生しようとプロジェクトチームがスタートしたのが、2019年の夏のこと。
今回のプロジェクトの目的は社会課題にもなっている空き家の利活用でもありますが、一番の目的はこのシェアハウスでこれからの時代の新たな暮らし方(ロールモデル)を創っていくこと。
コロナ禍のいま、リモートワークやオンライン配信など時代の変化を感じることも多いですが、人生100年という長寿化も人々の生き方や働き方を大きく変えるといわれています。
「長寿化が不幸の種にならないように、私たちはどうすべきか」と問うて話題になったリンダ・グラットンさんの著書「LIFE SHIFTー100年時代の人生戦略」が出版されたのが2016年のこと。
これまで人生というのは、教育、仕事、引退の3つのステージだったわけですが、この引退のステージが10年から20年となり、これからは30年とさらに長くなっていく。そうなると60歳以降を引退のステージとして一括りには出来ず、人生そのものをマルチステージの生き方へと変化していく必要があるといいます。
コモンフルールはそんな人生100年時代の「60〜80歳を生きるシングル女性」にスポットをあてた、これまでになかったシェア暮らしの提案です。
いまは独り暮らしでも、他に選択肢がなかっただけで、人と人との関わりを重視したシェア暮らしの方がマッチする方も少なくないはず。シングルだけど独り暮らしではない、もう一つの住まい方としてコモンフルールは誕生します。
コモンフルールでは定年退職後の社会との関わりを重視して、シェアハウスでの「ソーシャルアクティビティ」や「スモールビジネス」を推奨しています。
例えばシェアハウスの共用部で「こども食堂」を運営することで地域のハブ的空間をつくったり、料理教室を開催して人が集う場にしたり、あるいはそういった活動の情報発信をする場にしたりというイメージです。(実際にはこれらはコモンフルールの運営者と入居者の合意のもと行われます。)
このようにコモンフルールは「人生100年時代のセカンドライフ」の場でありますが、それと同時に「少子高齢化時代の多文化共生」の場でもあります。
というのもコモンフルールは日本の介護現場で働く外国人の方の住まいでもあります。
長寿化する日本社会では2040年まで65歳以上の高齢者が増えていくといわれますが、その一方で高齢者を支える世代の人口は減っていきます。介護現場を支えるためには人材の確保が必要となりますが、外国人人材の協力はすでに不可欠となっています。
かといって世界各国の中から今後も日本を選び続けてもらうのは簡単なことではありません。ですので私たちは、彼女たちが「日本に来てよかった」と思える環境づくりにも取り組んでいきます。
このように「60歳以上のおひとりさま」と「アジアの外国人人材」がそれぞれの強みと弱みを補い合いながら、地域社会から孤立することなく、新たな暮らしを創っていく=コモンフルールを育てていく。そのような場づくりをしていくことが私たちのミッションであり、コモンフルールという暮らし方が新たなロールモデルとなって全国各地に広がっていくことを私たちは願っています。
(後半へつづく)
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